
1936年(昭和11年)阿部定(あべ さだ)という女性が愛人男性の局部を切断して、逮捕されるまでの3日間持ち歩いたという奇妙な事件。(行為中に男性の首を絞めて殺害し、その直後に局部を切断しました)
今回はこの怪奇事件「阿部定事件」を紹介します。
阿部定事件とは?
1935年、当時30歳で芸者として転々と生活をしていた阿部定は東京の中野にある料理店で働き始め、そこで店主の石田吉蔵に恋をしてしまいます。
しばらくして二人は体の関係をもつことになり、仕事後に二人は頻繁に会うようになりました。
ある日この二人は東京市(現在の東京都)荒川区の旅館に泊まり四畳半の部屋で行為をします。
石田が異常な性癖を持っており、行為中に首をしめてくれと安部にいい、窒息プレイを楽しんでいたという。
すると石田は自分が眠っている間も紐で首を絞めてくれとお願いしたところ、阿部は2回ほど石田の首を絞め、石田は死亡しました。(1936年5月18日)
その後、阿部は死んだ石田の局部を包丁で切断して3日間それを持ち歩くという異常な行動に出ます。
遺体を発見したのは翌朝11時ごろ。朝、阿部はお菓子を買いに行くと行って旅館を出るが、帰ってくる気配がなく、旅館の女中が部屋を確認したところそこは殺人現場となっていました。
殺された男には、血でシーツと石田の左太ももに「定、吉二人」と、石田の左腕に「定」と刻まれていました。
国民のパニックと逮捕
阿部が逮捕されるまでこの事件はすぐに国民を興奮させます。

画像:Wikipedia
警察の捜索中に髪型や体型が阿部に似てるとの通報が入ったりして、銀座や大阪の繁華街がパニックに(阿部定パニック)
阿部が現れたという情報が流れるたびに、新聞はそれをさも愉快に書きたてました。
阿部定ってどんな人?
本人の画像です。

画像:Wikipedia
逮捕の瞬間
事件発生から2日後、阿部は品川駅近くの旅館に偽名を使って宿泊していたが、その偽名に違和感を感じた警察が調査に訪れます。
警察が部屋を開けると阿部は昼間からビールを飲んでいて、こう言いました。
「阿部定を探しているの?あたしがその阿部定だよ」
阿部は切断した石田の局部を警察に見せたという。(警察が悲鳴をあげたほど衝撃的だった)
逮捕後、定には精神鑑定が行われ、担当した東大教授は阿部が先天的なな過剰性欲を持っていることが判明。
審問で「どうして殺したのか」と聞かれ、こう答えたそうです。
「私はあの人が好きでたまらず、自分で独占したいと思いつめた末、あの人は私と夫婦でないから、あの人が生きていれば、ほかの女に触れることになるでしょう。殺してしまえば、ほかの女が指一本触れなくなりますから、殺してしまったのです」
つまり愛人への独占欲から殺人へと発展したのである。