
15世紀ごろ、スコットランド南西部に位置するサウスエアシャーという街で25年間人肉を食べ続けた「ソニー・ビーン」という怪人が存在しました。
人間が人間の肉を食べることを「カニバリズム」といいますが、この文化があったとされる国は意外と多いです。
ですが、ソニービーンの例は特殊であり、おそらく歴史上一番残酷な食人事件だと思います。
今回のテーマは食人男「ソニー・ビーン」です。
事件の発端
スコットランドの田舎で生まれたソニービーンは父親の仕事を手伝って生計を立てていましたが、怠け者であったため成人した時に労働を嫌って家を出ました。
家を出た彼は性悪な女性と知り合い、海岸の洞窟で暮らすようになります。

画像:Wikipedia
ソニービーンの絵画です。奥に人間の脚を運んでいる女性が描かれています。
労働を嫌っていた2人は人に見られないように旅人を殺して、持っていた金品や食料を生活の糧にしますがそれだけでは充分ではなく、ついには食糧が足りなくなり彼はこんなことを思いついてしまいます。
殺した遺体を食べればいいと。
彼らは死体から内蔵を取り出して腕、脚を切断し塩漬けにして食卓にのせました。
あまった肉はフックにかけて干して保存食としたそうです。
大家族を形成し、人を殺しまくる
ソニービーンと妻は性欲が旺盛だったと言われており、たくさんの子供を作りました。
男8人、女6人を儲けましたがそれだけでは終わらず、子供たち同士の近親相姦でさらに子を増やし最終的には48人の大家族になります。
子供には教育を受けさせず、人の殺害方法、死体の解体技術だけを教え込んだと言われています。
ビーン一族は人を襲うときにはチームワークを働かせていました。
襲う相手は必ず5人以下にし、どの方向にも逃げられないように周りに仲間を配置しました。
これによって、襲われて生還した人はいないといいます。
彼らに襲われて食べられた人数は1500人という説がありますが、定かではないとのこと。
ついに逮捕され処刑される
ビーン一族は25年間にわたって犯行を続けたが、ついに逮捕の時が来ます。
馬に乗っていた夫婦を襲った時に、嫁は殺したが夫のほうが逃走してしまい、また大人数の集団が近くにいたので撤退しました。
逃げ切った夫が役所に出向き、犯行が明るみに出ます。
そしてスコットランド国王に報告されついに軍隊が出動し、ビーン一族は捕えられ死刑に処されました。
洞窟には盗品や人肉、人骨が発見され、犯行が発覚します。
裁判は行われず、ビーン一族全員(子供も含む)が死刑になりました。
ビーンは両腕両脚を斧で切断されて出血多量で死ぬまで放置され、女は火あぶりの刑になったそうです。
子供たちはなぜ自分たちが処刑されるのか最後までわからなかったと伝えられています。
おまけ:パプアニューギニアに住むフォレ族の「食人習慣」
パプアニューギニアの高地に「フォレ族」という部族が住んでいるのですが、この部族も1950年代まで食人習慣がありました。
ソニービーンのように残酷性はなく、葬儀の時に遺体の肉をそぎ落としてバナナの皮に包んで焼いて食べていたということです。
なぜこのような恐ろしいことをしていたのか?
それは「愛する仲間の肉を食べることで死者の魂を慰めることができる」というのが理由だったそうです。
ですが、この儀式が定着し始めるとある異変が起こるようになります。
女性や子供を中心に葬儀に出席した人が謎の死をとげるようになりました。(時には20人中15人が死んだことも)
この原因をつきとめるため欧米の人類学者が調査に訪れます。
老人を数人調べてみたところ、プリオンというたんぱく質の異常により、脳がスポンジのようにスカスカになっていたことが判明。
その原因はやはり「同種食い」でありました。
このように体に悪影響があるので、1950年代終わりにオーストラリア政府により食人習慣は止めさせられました。
1957年から2002年まで2500人の死者が出たといわれています。