
かつての中国では女性の足の成長を止めて意図的に小さくする風習がありました。
足が小さいほうが美しいという美学が存在したからです。
ですが、その足は異常な形をしていました。
今回のテーマは中国の「纏足:てんそく」です。
纏足(てんそく)とは何?
唐の時代の中国では足が小さい女性は美しいとされていました。
美しいということは男性にモテるということであり、逆に足が大きいと恋愛も結婚もできなかったといいます。
そのため母親は娘が嫁に行けるように幼少期に特殊な方法で足の成長を妨げて、足の大きさを5歳程度で止めるようにしていました。
美しく装飾された小さな靴を履いて歩くことが当時のファッションだっため、その靴を履くために足の成長を止めて小さくする、そんな風習が中国に存在していました。
この纏足は男性の性欲も駆り立てるというくらい女性の魅力を引き出すものであったため、恋人や夫以外には素足は見せなかったといいます。
こちらが纏足の画像です。

画像:Wikipedia
明らかに人工的に小さくしたおかしな形になっています。
画像を見る限りハイヒールみたいな形をしていて、指が下の方向に曲がっていますが、これはなぜなのか。
それは当時の足を小さくする方法のせいで足が内部で圧迫されて変形してしまったからです。

画像:Wikipedia
左が普通の靴、右が纏足用の靴です。
横からの図なのですが纏足用の靴は長さが短く、上から見ると三角になっています。
つまり内部で圧迫されるこの靴を長年履き続けることによって成長を止めるというものです。

画像:http://www.china7.jp
正面から見た女性の纏足です。
足を小さくする経緯(どのような方法だったのか)
纏足は主に3~5歳くらいの女の子に行われていました。小さくするには子供の時に成長を止める必要があったからです。
そのやり方はまず、足をお湯で温めて柔らかくなったところ、指を足裏に折り曲げて布を巻いてしっかり固定します。
次に半年間かけて布を強くしめていきます。そして中足骨ごと折り曲げて縛り方を変えてハイヒールのような形にすれば完成するとのこと。
理想の足のサイズは10センチほどであり、3年くらいかかったそうです。

画像:Wikipedia
纏足のレントゲン写真です。足を横から撮影したものですが、中がくぼんでハイヒールの形になっています。これが完成形です。
どうして纏足が流行したのか
足が小さいほうが美しく見えるという文化があったことは上で述べましたが、他には纏足の女性は足の形状の都合で腰回りが鍛えられ性的能力が上がるとされ男性から人気があったそうです。
また、纏足女性は歩きにくさが残り遠出は不可能でした。すると男性は自分の女性を家の中に束縛でき、貞節を維持しやすかった、つまり嫁の浮気や不倫を阻止することができたわけです。このような理由から男性から重宝されました。
ですが、1930年以降女性は「ただの男性の好みじゃないか」という不信感を抱き纏足を放棄し、さらには文化大革命による古い風習の断絶によりこの風習は廃れていきました。