
昔、トイレは「便所」「厠」「雪隠」と呼ばれていた時代がありましたが、その当時は野外にあったりしてとても不気味な場所でした。
トイレに穴に子供が落ちて死亡する事故などもあり、穴から手が伸びてくるといった怪談なども存在します。
現在ではウォシュレットが完備されたりして清潔なイメージがあるトイレですが、そのトイレにまつわる話を書きます。
トイレは神が宿る場所だった
日常で何気なく使っているトイレですが、古くから日本にはトイレには神が宿るとされてきました。
その神様は「便所神」、別名「厠神:かわやがみ」と言われていて、一家を守ってくれると信じられていました。
この「厠:かわや」というのは大小便をするところを指しています。
昔の人は排泄物は川から海へ行き、その彼方は黄泉の国(よみのくに)だったと考えていました。
黄泉の国とは死者が生活するところ、すなわち死の国です。
そこにいる神々はあの世とこの世を行き来するため、トイレと神はつながっている考えました。
厠神は美人な神様であり、きれい好きな性格をしています。
祀り方は、トイレを清潔にする、トイレに神棚を飾る、建築の際にトイレの下に人形を埋めるなど、様々です。
かつて長野や福島では生まれたばかりの赤ちゃんをトイレに連れて行くという風習がありました。
赤ちゃんを霊的なトイレに連れていくことによって、たくましく育つことを祈ったとされています。
これを「便所参り」「雪隠参り:せっちんまいり」といいます。
信州では「便所の年取り」という行事が行われています。
年末年始にトイレをきれいに掃除してお供え物をして家族全員でお祈りをするというものです。
このようにトイレには神様が存在する霊的な場所であるという言い伝えがあります。
2010年に「トイレの神様」という曲が大ヒットしましたが、あれは本人がおばあちゃんから聞いた実話なのかもしれません。
トイレでこれはやってはいけない【禁止事項】
禁止事項① トイレを汚くする
トイレを汚くすると厠神が怒り、浮遊霊が住み着くようになるといいます。
よく風水でトイレ掃除で運気が上がると言われていますが、逆に汚くすると運気が下がるのはこれが理由です。
また、廃墟の学校などで幽霊が目撃されるのもトイレが汚いためです。(有名な都市伝説ではトイレの花子さん)
禁止事項② トイレに唾を吐く
もともと唾を吐くものでないため厠神が怒って目や歯の病気になるという場合が多い。
厠神は右手で大便、左手で小便を受け取るため両手がふさがっています。
そのため、唾を吐かれると防げないため吐いた人は無礼者となります。
禁止事項③ トイレでくしゃみをする
トイレでくしゃみをすると魂が抜けて死んでしまうという言い伝えもあります。
このようにトイレはすぐに汚くなるので清潔に使いましょうという昔の人の考え方が今に伝わっているのだと思います。
唾を吐くのはトイレの使い方が間違っているのと、厠神に対して失礼な行為にあたるからです。
おまけ:トイレに入る時に咳払いをしなくてはならない
お年寄りの方から教えられることですが、本来はトイレに入る前に「エヘン」と咳払いをしないといけないそうです。
これは厠神に対して「これからトイレに入りますよ」という挨拶になるからです。
神社の境内に入るときに神様にお辞儀をするのと同様に、トイレでも挨拶はしなければならないということです。
どうしてトイレに幽霊が出やすいのか
よくトイレに幽霊が出やすいという話を聞いたことありますよね。
有名な都市伝説で「トイレの花子さん」があります。
小学生の花子さんが変質者に追われてトイレの3番目の個室に隠れたけど見つかって殺され、そして幽霊になって現れるようになったという話です。
肝試しで廃墟の学校や病院のトイレで心霊現象が起きた!という噂も聞いたことあると思います。
これはなぜかというと、幽霊は水まわりの湿気のある場所に住みつきやすいと聞いたことがあるのでそのせいだと思われます。
もう一つ、成仏できない霊は浄化されたきれいな所に住みつくことができないため、不潔で汚らしい場所に現れるという説もあります。
廃墟でもそうでない建物でもトイレは汚れていることが多いです。
さらには、トイレは個室であるため幽霊は自分をアピールしやすい場所であるという説もあります。(目撃者は簡単に逃げられなくなり幽霊と対面する)
風呂場での幽霊目撃例が多いのも個室であるからと考えられます。
以前、心霊番組でカラオケボックスの監視カメラに幽霊が写った映像を観たことがあるので、こう考えると幽霊は個室を選びやすいというのは間違っていないようです。